BXデザインプロジェクト

ビジネスサイドへのデザイン浸透と組織改革

  • デザイナー
  • 2023/4 - 2025/3
  • 自ら動いて組織を変えたリーダーシップ

社内SNSでのデザイン発信をきっかけに、ビジネスサイドへのデザイン浸透プロジェクトを立ち上げ。研修の企画・実施から営業資料の刷新まで、組織のデザインリテラシー向上を一貫して推進した。

課題

当時の営業資料は約10年前に作られたものをつぎはぎで運用しており、ロゴの掲載位置がページごとにずれるなどデザインの一貫性がなく、1ページあたりの文字量も多すぎる状態だった。そのため営業は資料を軽く見せるだけで商談を進めており、営業の質が属人化していた。広告事業本部の事業部長は、全員が勝ちパターンで商談に臨める状態を目指し、資料の品質向上を課題と捉えていた。

一方、デザイナーは社内からの受注対応が中心で、自ら発信する機会がなかった。デザインでビジネスを牽引できないかと考える中でBXデザインの概念に出会い、社内SNSでのデザイン発信や相談窓口の設置など、デザインサポートの取り組みを自主的に開始していた。

アプローチ

この自主的な発信が事業部長の目に留まり、「ビジネスサイド全体にデザインを浸透させたい」という依頼につながった。もともと温めていたデザイン浸透のアイディアを提案し、以下の流れで推進した。

  1. 広告事業本部向けデザイン研修を企画・実施(2グループ計60名)
  2. 新人研修にもデザイン研修を組み込み、継続的に実施(累計86名)
  3. 研修後、営業部から資料刷新の依頼が発生
  4. 営業資料・新人研修資料・行動規範・新卒説明会資料を刷新

研修の設計

「デザイン4大原則」の4つだけを確実に覚えてもらうことにフォーカスした1時間の研修を設計。座学で原則を説明した後、悪いスライドの実例を提示し、参加者自身にどこが悪いのかを指摘してもらうワークを実施。論理的な根拠とセットで理解を促すことで、単なる知識ではなく判断基準として定着させることを意識した。また、ビジネスで役立つデザイントピックスを余談として紹介し、自分事として落とし込めるよう設計した。

研修の企画段階では、まず上長に実演し、次に事業部長にも確認を依頼。事業部内のメンバーの性格や内容を踏まえた進行アドバイスをもらった。研修中は、積極的に反応してくれる参加者を見つけて質問を投げかけるなど、場の巻き込みを意識して進行した。

営業資料の刷新

約10年間つぎはぎで運用されていた営業資料を全面的に再設計。1スライドあたりの情報量を約1/10〜20に削減し、1スライド1メッセージの構成に変更した。セールスエースのトークスクリプトをもとに、誰もが勝ちパターンで商談を進められるようスライド構成を再設計。写真や図を多用し、クライアントごとに差し替えるグラフ・表のテンプレートも準備した。

改善後、営業はスライドを積極的に活用して商談に臨むようになり、属人化していた営業品質の標準化につながった。

  • 研修参加者:延べ約146名(広告事業本部2グループ計60名+新人研修累計86名)
  • 研修満足度:ビジネスサイド向け97.7%(大満足93.2%)、新人研修90%(大満足50%)
  • デザイナーへの相談依頼:約10倍に増加
  • 研修後、基本を押さえた資料が作成されるようになり、レビュー時のクオリティ向上とコミュニケーションコスト削減を実現
  • 本プロジェクトの取り組みが評価され、リーダーへ昇進

学び

デザインのビジネス価値を示すことがデザイナーのプレゼンス向上につながること、そしてビジネスサイドもデザインの課題を抱え解決を求めていたことを学んだ。デザインを起点とした対話は、事業理解の深化にもつながると実感した。